最高血圧「120未満」!?…米の「治療目標」波紋
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yomiDr(読売新聞)
2015.11.23 UPDATE

(2015年11月20日 yomiDr(読売新聞)より) 高血圧治療は「最高血圧120未満を目標にすべきだ」とする米国立心肺血液研究所の大規模研究報告が医療現場に波紋を広げている。日本の治療指針が定める140未満より、大幅に厳しい目標値を求める内容だ。血圧はどこまで下げれば良いのだろうか。
「現場が混乱しているのではないか?」とのことですが、正直思うことは、この研究(SPRINT)結果を受けて
「え?じゃぁ目の前の患者さんの血圧をどこまで下げればいいの?」
などのように混乱している現場があるとすれば、その現場にいる人(医者)は、リテラシー(情報を適切に読み解く能力)が足りなすぎると思う、というか、現代の医学知識がどのように構築されているのかを知らなすぎると思う。
まず理解しておくべきことは、どんなに素晴らしい研究から出た結果であったとしても、それはたった1つの研究の結果であること。
一般的に、現在の日常診療の多くの判断は、これまでのかなり多くの研究結果に基づいている。
例えば、今回の話で言えば、「血圧はいくつまで下げるべきか?」についての研究は、100も1000もあるでしょう(この分野は研究も盛んなのでもっとあるのかも)。
その研究結果のすべてを、専門家が多数集まって、かなり時間をかけて見直して議論して、現在の降圧目標を決めている(=いわゆるガイドラインを作成している)。
それを数年ごとに見直している(ほんとこれ大変な仕事だと思います・・)。
言い方は悪いかもしれませんが、今回の研究は、過去の1000個もある知見に1つ加わったに過ぎない。
「まぁそういうこともあるかもね」、でいいと私は思う。
しかもこれ米国のお話です。
日本人と米国人は、病気のリスクが異なりすぎます。
ネット時代で情報が急速に氾濫している社会になっていますが、患者さんも現場も、冷静にいきたいものです。
ちなみに今回の研究について、日本高血圧学会は、以下の通りコメントを出しています。
http://www.jpnsh.jp/topics/475.html
http://www.jpnsh.jp/topics/456.html
仮に、今回のSPRINTの結果で「混乱している現場」があるとして、その現場の医療者(医者)で、上記の高血圧学会のコメントを見ていないとしたら、それは更にリテラシーが・・・(以下自粛
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