「ワクチン打ったらマスク不要」の大きな勘違い
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東洋経済オンライン
2021.05.24 UPDATE
一瞬耳を疑った。知り合いの知り合いの話だが、医療従事者の結婚式に出席したところ、列席者のうち医療従事者とみられる人は披露宴会場で終始マスクをしていなかったという。おそらく「新型コロナワクチンを接種済みだから、マスクは不要」という考えだったのだろう。 この判断は正しいだろうか? いや、そのはずがない。日本の現状からすれば、接種済みであっても室内でマスクを外し、大勢で歓談しながら会食を楽しむことは、適切ではない。
マスク着用義務が出ていた国が、義務をゆるめたという話と、科学的に感染しなくなったからマスクをつけなくて良いという話は別で考える必要がある。
本来マスクをつけるつけないを強制したり許可したりすることには違和感があり、一方で、科学的に判断して状況と環境に応じて使いこなすべきである。
新型コロナウイルスによる感染が成立する仕組みは、次の3つの要素がそろった時である。逆に、この3要素のうち1つでも取り除くことができると感染症は起きない。
①感染力のある新型コロナウイルスが存在する(感染源がある)②新型コロナウイルスが体内に入る経路がある(感染経路がある)③体に抵抗力がない(新型コロナウイルスに対する抗体などの免疫機能が不十分でない)
「手洗いだけ(主に①)」「マスクだけ(主に②)」「ワクチンだけ(③)」といった1つだけの対策に頼ってしまうと、それがたまたま破綻したときに3つが揃い感染が成立する。
これまでは、ソーシャルディスタンシングやマスクで①と②をなんとかコントロールしようとしていた中で、ワクチンの開発によって積極的に③をコントロールすることができるようになった。しかし、ワクチン接種も感染成立の3要素のひとつを取り除く手段にすぎない。免疫がついたかどうかわからない、変異ウイルスもある。まだ、環境や免疫をコントロールできない状況では、経路遮断でコントロールをするしかなく、マスクをつけなくて良いという話にはなりにくい。
最後に目指すのは③の集団免疫の確立である。だが、それまでは複数の感染対策を同時に気を配るほうがよく、今のような感染流行期には、うかつなイメージでの行動は避けたいところである。
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